地球との共生を目指して

石油文明の振り返り

人口の推移

はじめに有史以来、人類の人口がどのように推移してきたか、その推計値を元に作成されたグラフがあります。
国連人口基金駐日事務所ホームページをご覧ください。
https://tokyo.unfpa.org/ja/resources/資料・統計

このグラフを見ると、人類の長い歴史のなかで、人口はほぼ直線的に、ゆっくりと増加してきたことがよくわかります。ところが、産業革命が始まった頃から、人口のカーブは急速に変化し、人口が急増していきます。

1950年 25億人
1987年 50億人
1998年 60億人
2010年 70億人
2022年 80億人

ちょっと驚いてしまう程の勢いです。

なお、以下のページから、世界人口白書2023をダウンロードできます。
https://tokyo.unfpa.org/ja/SWOP

同じページに、「世界人口白書の概要」のリンクもあります。この概要は是非読んで頂きたいのですが、この概要から、印象的な言葉を引用します。

女性の身体と生殖に関する選択が 「人口過剰」問題の原因と解決策の両方であるという解釈をする必要はありません。その代わりに、一人ひとりの選択がカギを握っているということを重視し、性と生殖に関する正義という観点から、あらゆる形での人類の進歩を支援することができます。 そのためには地球上の人口を減らすことよりも、教育やヘルスケア、手ごろな価格のクリーン・エネルギーに投資し、ジェンダー平等の実現に向 けた努力をする必要があります。

平均寿命の推移

近年の、世界人口の平均寿命をみると、19世紀までは30歳以下で推移していました。人類が長生きし始めたのは、20世紀に入ってからです。
グラフはOur World in Dataから持ってきました。リンクは以下のとおりです。
https://ourworldindata.org/life-expectancy

1950年 46.5歳
1960年 47.7歳
1970年 56.1歳
1980年 60.6歳
1990年 64歳
2000年 66.5歳
2010年 70.1歳
2020年 72歳

人類の平均寿命が伸びた理由はいくつかあろうかと思いますが、乳幼児死亡率が低下したことが、大きく影響しています。
世界の平均寿命推移 Our World in Data

乳幼児死亡率

乳幼児死亡率(5歳未満の子供の死亡率)は近年、大幅に改善しています。Our World in Dataによると、乳幼児の死亡率は以下のとおりです。
https://ourworldindata.org/child-mortality#child-mortality-around-the-world-since-1800

1800年 43.3%
1900年 36.2%
1960年 18.5%
1980年 11.6%
1990年   9.3%
2000年   7.7%
2010年   5.1%

西暦1800年では、5歳までに4割以上が死亡、1900年になっても3分の1が死亡。その後、死亡率は急速に改善し、今では世界平均で5%以下、先進国では1%未満にまで減少しています。
衛生状態の改善や栄養の改善、医学の進歩などのおかげです。
乳幼児死亡率の推移 Our World in Data

教育水準の変化、推移

近年の教育水準は目覚ましい勢いで向上しています。Our World in Dataによると、世界の識字率(literate)は以下のようになっています。
https://ourworldindata.org/literacy
1820年 12%
1870年 18.7%
1900年 21.4%
1950年 36%
1970年 55.6%
1980年 56%
1990年 68.3%
2000年 80.8%
2010年 82.7%
2020年 86.8%

以上のように、今から200年前、人類の多くは文字が読めませんでした。100年前、識字率は倍増しましたが、それでもまだ多くの人は文字が読めない状況が続いていました。1970年になって、過半数の人が読めるようになってきました。2000年、ようやく人類の8割の人が文字を読めるようになりました。

上記は世界全体の状況ですが、地域によって格差はあります。
ちなみに、Our World in Dataには、1475年以降の国別(西ヨーロッパ)の識字率を示したグラフが記載されています。国別に比較すると、なかなか興味深いものがあります。(Our World in Dataのデータソースは次のとおり)

Buringh, E., & Van Zanden, J. L. (2009). Charting the “Rise of the West”: Manuscripts and Printed Books in Europe, A long-term perspective from the sixth through eighteenth centuries. The Journal of Economic History, 69(02), 409-445.

1475 1550 1650 1750 1820
イギリス 5 16 53 54 53
オランダ 17 12 53 85 不明
スペイン 3 4 5 8 20
ドイツ 9 16 31 38 不明
フランス 6 19 29 29 38
世界の識字率推移(Our World in Data作成)
1475年以後の識字率推移(Our World in Data作成) 

近年の人口成長、GDP成長、エネルギー消費の比較

Our World in Dataには、産業革命以後の世界の人口成長、GDP成長、エネルギー消費の推移が用意されています。

人口、GDP、エネルギー消費の3項目について、1900年と2018年を比較してみます。
単位 1900年 2018年 比率
人口 10億人 1.63 7.68 4.7
GDP 10億ドル 3.41 1113 326
GDP/p 一人当たり 2.1 144.9 69
エネルギー TWh 12,131 172,514 14
エネルギー/p 一人当たり 7,442 22,462 3
比率=2018年の値➗1900年の値

人口、GDP、エネルギー消費は、それぞれ単位が相違しているので、1900年から2018年までの間の倍率を計算しています。
世界の人口は約4.7倍に増加しました。
世界のGDPは326倍に増加しました。
世界のエネルギー消費は14倍に増加しました。

上記の通り、人類のエネルギー消費は14倍にも増加していますが、一人当たりの倍率では、3倍です。
一方、GDPはトータルで326倍にも増加しており、一人当たりで見ても、69倍に増加しています。
この100年間、人類は限りある資源を有効に使用し、効率的に富を生み出してきたと考えられます。技術開発、省エネルギーなどの効率化に勤めてきた結果、それほどエネルギーを消費せずに、経済効果をあげ、人々は豊かになりました。乳幼児の死亡率は下がり、平均寿命は伸び、教育水準は向上しました。
人口の推移 Our World in Data
GDPの推移 Our World in Data
エネルギー消費の推移 Our World in Data

経済成長とエネルギー消費抑制の両立

以上見てきたように、過去100年の間、人類は大きな経済発展を遂げ、生活水準は向上し、平均寿命は伸びて、豊かになってきました。その背景には、化石燃料が有用なエネルギー源であることを発見し、それらをうまく活用してきたという事実があります。石油などの資源を活用したからこそ、文明を飛躍的に発展させることができたと言えます。

前項で見たように、エネルギー消費量の増加よりも、経済成長の方がはるかに増大しました。人口は急増しましたが、それ以上に経済を発展させてきました。エネルギー消費も増えていますが、エネルギー効率を上げたことで、消費の増加はかなり抑制されたと言えるでしょう。

今後、人口増加のペースは落ちて行きます。エネルギーの利用効率を今後も上げていけば、エネルギー消費量を減らしつつ経済成長を持続することは十分可能であると考えられます。

ここで問題となるのは、今後は化石燃料に依存することができない、という点です。これまでも化石燃料の利用が有害な副産物を生み出し、公害という形で社会問題を引き起こしてきました。そして今、地球温暖化という、地球の生態系そのもののバランスを揺るがす問題を引き起こしています。

即ち、我々人類は次のような多くの課題、問題に直面しています。

①エネルギー消費を抑制する

②エネルギー源を化石燃料から相対的に無害なもの(太陽光、風力、水力など)へと移行する

③持続的な経済成長を実現する

④貧困、人権侵害等をなくす

こういった課題、問題に同時並行的に取り組んで、結果を出す必要があります。

しかも、時間の猶予はあまり残されていません。

当ホームページは、SDGsの精神に基づき、人為的活動によって崩れつつある地球の生態系バランスを、これ以上崩壊させることなく、なんとか元に戻すにはどうすれば良いか、美しい母なる地球環境を後々まで残すためには今何をするべきか、といった問題を扱います。
様々な観点、側面から問題を分析し、進むべき道、方向性を探っていきます。

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